ドリーム小説
いつか晴れた日に
1945年日本
戦争は更に激しさを増していた。
「イヅル兄ちゃーん!」
「ああかい。もうすぐ終わるから待っててね」
小さな許嫁が駆け寄ってくる。
彼女の名は。
親同士が仲が良いので僕達は将来結婚する事になっている。
可愛らしく元気のある良い子だ。
「私も手伝うよ」
は僕のしている農作業を手伝い始めた。
「ありがとう」
僕が笑うとも笑った。
「私とイヅル兄ちゃんって結婚するんだよね」
が手を止めて僕のほうを見た。
「そうだよ。嫌かい?」
「そんな事ないよ!私イヅル兄ちゃん好きだもん!」
「ありがとう。嬉しいよ」
また笑う。
「僕も…」
「イヅルー!!早く家へ帰って来い!!」
突然遠くで父さんの声がした。
何かあったのかな?
「ごめん…。行ってくるよ」
をそこに残し家に戻った。
家に戻ると父さんも母さんも沈んだ表情で居間に座っていた。
父さんが口を開く。
「…イヅル。お前に赤紙≠ェ来た」
…赤…紙…
母さんがわっと泣き出した。
「明日…出発だ。御国の為に頑張るんだぞ」
父さんはそれだけ言って居間を去った。
居間には母さんの啜り泣きだけが響いた。
戦争に行かなければいけない…
何時かは行かなければいけないと分かっていた。
しかしいざ行くとなると恐怖が僕を襲う。
死ぬかもしれない…
でも…
心残りが有りすぎる…
「イヅル兄ちゃん…どしたの?」
「!?」
何時の間にかが家の中に入っていた。
「イヅル兄ちゃん…どっか行っちゃうの?」
の顔が不安そうに此方を見る。
「…僕は戦争に行くんだ。御国の為に戦う…名誉な事なんだよ」
の肩を掴みながら優しく語り掛けた。
「オクニノタメ…?」
「には…難しすぎたかな?」
でも…何となくは分かっているんだろうね…
一日が過ぎるのはなんて早いんだろう…
もう出発の時が来てしまった。
村の人達が僕の見送りに来てくれた…
その中にも居る。
僕はに歩み寄り跪いた。
「必ず戻ってくるからね」
はこっくりと頷く。
「待っててね」
僕は精一杯の笑顔をに送った。
「うん」
も笑ってくれた。
「イヅル…そろそろ行かないと船が出てしまうぞ」
父さんが僕を促した。
「はい」
僕は立ち上がった。
目の前の道は涙で霞んで見えないが…
真っ直ぐ進んでいくしかないんだ…
……また会おうね。
いつか晴れた日に…
僕は振り返りに敬礼をした。
FIN
あとがき
えー初パラレルが戦争の話ってどうよ…?
実はこの話は実話を元にしていまして…
お婆ちゃんの許嫁の人の話なんです。
でもこの許嫁の人は帰って来れなかったんです…悲しいですね…
では、こんな話を最後まで読んで下さりありがとうございましたm(_ _)m
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