おとぎの国のお姫様は麻薬中毒者・II




















私はピエロさんに連れられて彼のお家へ行きました。





「わぁ…」





ピエロさんのお家にはたくさんのお花とおもちゃがありました。





ピエロさんが手から出した物がたくさんあります。





時計があるけれど針が無くて何時なのかは分かりませんでした。





「此処にある全ての物を姫に差し上げましょう」





「えっ、本当ですか?ピエロさん」





「僕の名前はお教えした筈ですよ」





そう言ってピエロさん…じゃなくてイールフォルトさんは苦笑いしました。





「ごめんなさい」





「お気に為さる事は御座いません、姫。
僕は確かに“ピエロ”ですから」





イールフォルトさんは優しく微笑みました。





それから私とイールフォルトさんはお茶を飲んだり、
トランプをしたりしてたくさん遊びました。





お城に居るよりずっとずっと楽しいです。





「もうそろそろお帰りにならないといけないのでは?」





イールフォルトさんはあの不思議な時計を見ながら言いました。





「そうですね。所で…あれで分かるのですか?」





「ええ、僕の時計ですから。…さあ帰りましょうお姫様。
騒ぎになっていては困りますからね。
僕が近くまでお送りして差し上げます」





もっと遊びたかったのですが…





仕方ありません。





私はお城に帰る事にしました。





「また遊びに行っても宜しいでしょうか?」





私は最初にお城から出て来た裏口でイールフォルトさんに言いました。





「ええ、勿論。……姫、貴女にこれを差し上げましょう」





そう言ってイールフォルトさんが袋を渡して下さいました。





「これは…?」





姫はお城で退屈為さっているのでしょう?
ほら…こうやって…注射器でこれを爪の間に刺して下さい。
誰にも分からない様にするにはこの方法が一番です。
……これはとても楽しい気分になれる“お薬”なのですよ」





イールフォルトさんは手順を教えてくれました。





楽しい気分になれる“お薬”…?





何なのでしょう…?





「…では、姫。またお会い致しましょう。
今日の事や“お薬”の事は呉々も御内密に為さって下さい…」





「はい、分かりました。さようなら、イールフォルトさん」





イールフォルトさんに別れを告げ、私はお城に戻りました。





幸い、私が抜け出していた事は誰にも気付かれていない様です。





私は夜、イールフォルトさんが下さった“お薬”を試してみる事にしました。





イールフォルトさんが最後に見せた冷たい様な…満足げな様な…
そんな表情が引っ掛かりましたが、
私は彼に言われた通り注射器を刺しました。





「痛っ…」





楽しい気分ってどんな風になれるのでしょうか…?













あとがき
…危ないね;
最近は麻薬を爪の間に刺すそうで;
腕だと刺し傷が目立つから、爪の間に;
いらん知識…;
あと1、2話で完結予定です。
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