名も無き華に名前を付けましょう。
晴れた空。
キレイな空気。
「ホント良いよねーピクニックって」
「…そうだな」
「何よ、全然乗り気じゃないのね。
恋次って山嫌いだったっけ?」
「いや、そういうワケじゃねぇよ」
春がすぐ近くまでやってきている三月。
私達は近くの山にピクニックに訪れた。
春先のデートはやっぱりピクニックに限るわ〜。
日頃事務職ばっかりの私には良い運動になるし。
「荷物、全部俺が持ってるしな…」
「何か言った、恋次」
「いや、別に何でも無いです」
まあ確かに荷物は恋次持ちだけど、
良いよね、恋次力持ちだし。
私はそう思いながら山道をどんどん登っていく。
「なあ、…そろそろ昼飯にしようぜ。
が作った弁当なんだろ?」
「んー確かにそうだけど…お昼はまだまだだよ。
頂上に着いてないし…ん?」
私は恋次にそう呼び掛けながら足下を見た。
見た事も無い、
不思議でキレイな華が一輪だけぽつんと咲いている。
「、どうかしたのか?」
「ほら見て恋次、珍しい華が咲いてる」
「見た事ねぇ華だな。は知ってんのか?」
「ううん、知らない」
「新種じゃねぇのか?」
恋次が屈んでしげしげと華を見ている。
恋次に華…
似合わない。
私は気付かれない様に笑った。
「よし、決めた。この華に俺が名前を付ける」
「えーズルいー!先に見つけたの私なのにー!」
「バーカ。先に言ったモン勝ちだ。
俺は名前付けんなら
世界で一番愛してる女の名前を付けるな。
“”ってな」
「なっ…」
恋次がニィっと笑う。
私は顔が紅く染まる感覚を覚えた。
「、オメーだったら何て付けんだ?」
「じゃあ、私は“恋次”で」
“ありがとよ”
恋次がそう言って私を抱き締めた。
強い風がサァっと吹き抜ける。
それでも愛する人の名を付けられた華は
凛と逞しく咲いているのだった。
FIN
あとがき
なんか変な話になっちゃいました;
恋次偽者っぽいし;
では、こんな話を最後まで読んで下さりありがとうございましたm(__)m
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