おとぎの国のお姫様は麻薬中毒者〜Chapter 1〜





















姫!お勉強のお時間ですよ」





「はい」





私の名前はと言います。





小さなおとぎの国のお姫様です。





お姫様はこの上無く退屈です。





お母様は私が小さい頃に亡くなってしまいましたし、
お父様は最近あまり構って下さいません。





お城にたくさん居る召使い達は勉強を教えてくれたり、
お世話をしてくれたりするけれど、
私と遊んでくれる事はありませんでした。





本当に退屈です…





だから私は
この窮屈でつまらない場所から逃げ出す事を考えました。





そして思い付きました。





殆ど誰も使っていない裏口…





其処から逃げ出す方法です。





其処なら衛兵さんも居ないし、
誰にも見つからずにお城の外に出れます。





私は何度も下見に行き、安全を確認してから決行しました。





変装もばっちりな筈です。





「ちょっと社会見学へ行って参ります…」





「何処へですか?」





――ッ!?





「えっ…」





普段なら誰も居ない筈の裏口…





でも何故か今日は違っていました。





衛兵さんが居たのです。





プラチナブロンドの長い髪に整った顔立ち…





初めてお会いする衛兵さんでしたが、
制服を着ているので間違いありません。





どうしましょう…





逃げ出そうなんて事がばれたらきっと怒られる…





私は泣きそうになりました。





「そんな…泣きそうな顔しなくても大丈夫ですよ。
誰にも言いませんから」





衛兵さんはにっこりと笑い掛けてくれました。





とても優しそうな笑顔です。





私は少し安心しました。





「お城の中ばかりじゃ退屈ですよね?
僕が外を案内して差し上げましょう。
勿論誰にも言いません。
この事は僕と姫の秘密です」





「本当ですか!ありがとうございます!」





私は喜んで衛兵さんについて行きました。





「あの…衛兵さん…お名前は?」





「僕ですか?僕の名前はイールフォルト・グランツです」





朝陽に輝くイールフォルトさんの髪。





蒼い瞳は吸い込まれてしまいそうな程でした…











あとがき
前に短編で書いたものを加筆修正して連載にしました。
連載なんでいろんなキャラが出てくると思います。


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