おとぎの国のお姫様は麻薬中毒者〜Chapter 4〜





















“楽しいもの”とは何なのでしょうか?





とても気になります。





イールフォルトさんに訊いても、
“見てのお楽しみですよ”とだけしか教えてくれません。





「ほらお姫様、コレですよ」





ウルキオラさんが渡してきたものは
麻袋に入った白い粉でした。





「小麦粉というものでしょうか?」





私がそう訊ねるとグリムジョーさんが笑います。





何が可笑しいのでしょうか?





「小麦粉とは違うぜ、姫。コイツは“クスリ”だ」





「お薬?私、病気になっている訳では無いのですが…」





またグリムジョーさんが笑いました。





私には訳が分かりません。





「グリムジョー…姫にあまり無礼をするな」





イールフォルトさんが言いました。





姫、コレは気分をハイにさせる“お薬”なのです。
病気の時に飲むお薬とは違うんですよ」





「気分がハイ?」





「楽しい気分になれるという事です」





ウルキオラさんが呟く様に言いました。





楽しい気分…





という事は、
お父様や召使いが遊んでくれなくても
寂しい気持ちにならないという事ですね。





私は少しだけ嬉しくなりました。





「コレは普通に飲めば良いのですよね?」





「いいえ、違います。
爪の間、其処に注射針を刺すのです。
コレは姫と僕以外の人にばれてはまずいですから。
こうやって…こうするのですよ」





イールフォルトさんが私の手を取り、
説明してくれました。





「分かりました?」





イールフォルトさんの綺麗な顔が間近に近付いて、
私はどきりとしました。





蒼い瞳。





魔法の力を持っている様な瞳でした…





「…分かりました。
どうして他の人にばれてはいけないのですか?」





「魔法の薬の様なものですからね。
言えば魔法の効力が切れてしまいます」





またウルキオラさんが言いました。





「そうそう。そうなんだよ。
魔法のクスリなんだぜ、ソレ」





グリムジョーさんはまた笑っています。





グリムジョーさんは笑い上戸なのかもしれません。





「さあ、そろそろお城に帰りましょう。
あまり長居をしていると騒ぎになるかもしれません」





そう言ってイールフォルトさんは私の手を引きます。





「じゃあな、金はまた後で寄るからその時に」





「気を付けろよ、姫を連れているのだから」





「ああ」





「お二人とも、さようなら」





私とイールフォルトさんは店を出て行きました。





“魔法のお薬”…





一体、どんな風に楽しい気分になれるのでしょうか?





お城に帰ったら早速試してみたいと思います。





とても楽しみです。





私は胸が躍る様な感覚がしました。








あとがき
ヒロインがとうとう手に入れちゃいましたね;
ヤバイです…


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