おとぎの国のお姫様は麻薬中毒者〜Chapter 5〜





















ハイになる、とはこの事を言うのですね。





とても気分が良いです。





私はイールフォルトさん達に言われた通りに“お薬”を注射しました。





チクリとした針の痛み、
その後暫く経つと鋭利な快楽が私を包みました。





とにかく冴えているのです。





そして楽しい気分なのです。





集中力は有り得ない程高まっていました。





気が付けば私は床の塵を延々と拾い続けていました。





今までに感じた事の無い強烈な気持ちです。





ふわふわとしたドロドロとしたインスピレーションが
私の脳内に駆け巡ります。





妙な言葉の羅列が私の目の前を躍ります。





私はそのままベッドに横たわりましたが眠れません。





結局、夜明けになりました。





私は寝てないにも拘わらず、
しっかりとした足取りでイールフォルトさんの元へと向かいました。





姫、御気分は如何ですか?」





「はい、とても素晴らしい気分です」





「それは良かったです。
僕も姫の様にハイなのですよ。
薬を打ちましたからね」





イールフォルトさんの、
異様…というか不思議な雰囲気はお薬のせいなのでしょうか?





「イールフォルトさんも見えますか?不思議な物達が」





「ええ、見えますとも。美しく歪んだ新世界。
僕の理想郷とも言うべき場所ばかりが見えます」





どうやら、このお薬は人によって見える物が違う様です。





私にはイールフォルトさんの言う美しい新世界は見えません。





「薬は確か、一回分しかありませんでしたよね?」





「ええ、確かそうです」





イールフォルトさんは微笑んでいます。





「実はその薬の効果はもって三日程度なんです。
…もっと欲しいですか?」





お薬…





打つと幸せな気持ちになれます…





「欲しいです」





イールフォルトさんが妖しく笑った様に見えました。





「じゃあ、此方に来て下さい。
僕と“気持ち良い事”をして下さったら…薬を差し上げましょう」





「“気持ち良い事”?」





「ええ、薬の効いている内にすると更に気持ち良いんです」





イールフォルトさんは私の手を引いて、
暗い小屋に入りました。





「心配しないで下さい。
僕に任せて下されば“気持ち良い”ですからね」





優しい蒼の瞳は何故か冷たく光り、
私を捉えて離しません。





これもお薬のせいなのでしょうか?





怖い…





私は突然にそう、感じました…











あとがき
次回は裏です;
イールフォルト、壊れます;


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